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【呪術廻戦】infinity

第30章 疲れとストレス


*****

酷い夢を見た。

先の見えない真っ暗な空間で、俺を中心に五条先生と八乙女さんが、永遠と歌を歌いながらクルクルと回っていた。

目が覚めて安堵したのは言うまでもない。


体を起こして小さく欠伸をした。

時刻は7時丁度。

周りを見たが、やはり八乙女さんはまだ起きていない。


少し浮腫んだ足を動かし、部屋の中央に置かれたソファーを覗いた。

しかし、そこには誰もいなかった。

ソファー前にあるテーブル下で、八乙女さんは眠っていた。


(一体、何があったらそこに入るんだよ…)


ソファーから落ちただけではない。

寝相の悪さに感心するまであった。



「八乙女さん、体痛めますよ」



時間に余裕があることは俺も分かっていた。

まだ寝続けても構わないが、床で寝ているのを無視できない。



「八乙女さん」

「……はぁぃ」



小さく返事をして、縮こまった八乙女さん。

ソファーに戻ることを提案すると、先程と全く同じ返事をされたので、寝ぼけて話を聞いてないのだろうと結論づけた。

もういいや、と八乙女さんに快適さを求めてもらうことは諦め、コップ一杯の水を飲んだ。



朝はビュッフェを食べに行くと豪語していた八乙女さんだが、起きる気配がないので勝手にルームサービスを頼ませてもらった。

料理が届くと、鼻が利く八乙女さんはモゾモゾと動き始め、横になったままこっちを見ていた。

ホラー映像のようだった。



「おはようございます」

「…はよ」



女性の寝起きに物言うのは良くないことは分かっているが、八乙女さんを見て洗面所を勧めずにはいられなかった。

八乙女さんも慣れているのか、特に気にすることなく欠伸をした。

飾らない姿に、八乙女さんらしさを感じた。



「何か食べますか?」

「…何、あんの…」

「オムレツとサラダ…。あと、八乙女さんが好きそうな洋菓子です」

「…食べるぅ…」



そう言ったものの、八乙女さんは静かに目を閉じて動かなくなった。

その様子を見て、自然と笑いが込み上げてきた。

結局、八乙女さんが活動を再開したのは11時53分。

どうして起こしてくれなかったの、と理不尽に怒られたものの、八乙女さんの機嫌は洋菓子で買うことが出来た。


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