第28章 初枝さんの思惑
「小娘。何遊んでる」
「あ、おばば!」
植え込みの間をすり抜けて、憎たらしい笑顔を浮かべて走ってきた。
「はい、プレゼント!」
頭に乗せられたのは、シロツメクサで作った花の冠。
朝一で近くに詰みに行って、坊ちゃんに教えながら作ったのだとか。
「はい、僕からも」
花の冠2つ乗せた自分は、なんと滑稽なのだろう。
『ねぇ、初枝さん。この庭にシロツメクサ、植えられない?』
『シロツメクサ、ですか?』
『別になんでもいいけど。白い花があったら、もっといいなって思っただけ』
照れくさそうに言い放つ坊ちゃんが、なんとも可愛らしくて。
普通の男の子だ、と泣きそうになったのを覚えている。
「全く…。こんなもの作ってる暇があったら、掃除をしなさい!」
「はーい」
「僕のホウキはないの?」
「坊ちゃんはやらなくていいんですよ」
「あ、ホウキならあっちに沢山あるよ」
「小娘!!」
小走りで取りに行く坊ちゃんを止めることが出来ず。
結局は掃除と称しながら遊ぶ2人を、呆れて眺めることになった。
坊ちゃんの笑顔を守りつつ、小娘を排除する方法はないのだろうか。
あの小娘だけは、ここにいてはならない。
何があっても、いてはならないのだ。