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【呪術廻戦】infinity

第28章 初枝さんの思惑




「でも、坊ちゃんには…あの子しかいないと思うけどねぇ」

「…妙さんが何と言おうと、認める訳にはいきません」



坊ちゃんは生まれながらにして、大変な重荷を背負っていた。

常に気を張って、身内にも気を許そうとしなかった。

いつもひとりでつまらなそうな顔をして。

声をかければ素っ気ない返事。

中には手のかかる子だと言って、この家を去る者もいた。



『…ごじょー…くぅ…ん』



けれど、何度追っ払っても諦めない小娘が現れてから、坊ちゃんは変わった。

彼女の前でだけ、優しい顔つきをするようになった。

それでも、私は仕事を理由に仲を裂かなくてはいけない。

坊ちゃんには、大変恨まれただろう。

けれど、坊ちゃんは1度も癇癪を上げたことがなかった。

幼くして諦めを痛い程学んでいたからだろう。

それが、とても辛かった。



「坊ちゃんが笑うようになったのも、あの子のおかげでしょう?」

「…それでも、認めません」



けれど、彼女は反対に諦めが悪かった。

とても、悪かった。

それに何度悩まされたか分からないが、心のどこかで感謝していた。

しかし、五条家の自分が、そんな自分を許せず、何度も、何度も、小娘の腕を引っ張った。



「ほら、見てくださいな。あの笑顔」

「昔じゃ考えられないねぇ〜…」



妙さんが指さしたのは、昔のように池の周りでじゃれつく2人。

大きな口を開けて、空を見上げながら笑う坊ちゃん。

その横で、小娘も腹を抱えて笑っていた。



「初枝さんが守りたいものって、あれでしょう?」

「…妙さんは回りくどくて嫌だねぇ」

「あら。失礼しましたぁ、うふふ」



仕事、仕事、と言いながら2人ははけていった。

私は2人の笑顔なんていうものはどうでもいい。

ただ。

坊ちゃんの笑顔を守ろうとすると、勝手に小娘もついてきてしまうのだ。

全く。

困った、困った。

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