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【呪術廻戦】infinity

第28章 初枝さんの思惑


*****

いつだってそうだ。

常識なんか棚に上げて、自分の良心で物事を量る。



「初枝さん。これ、美味しいですよ」

「初枝さんも一口どうですか?」

「結構です」



今日、初めて五条家の朝ご飯が粗末なものになった。

目玉焼きとベーコンを焼いて、パンに挟んで上からマヨネーズをかけて。

邪道以外の何物でもない。

和食ですらない食べ物に、口をつけるものか。


全てはあの小娘のせい。

彼女が坊ちゃんの婚約者?

許すまじ。


下女達が楽しそうに食事する場を抜けると、そこに広がる庭園で坊ちゃん達が遊んでいた。



「懐かしいですねぇ。まさか、あんなわんぱく娘が坊ちゃんの婚約者だなんて」

「小さい頃は気づきませんでしたけど、あの着物と、初枝さんの荒らげた声を聞くと、やはり懐かしいですね…」

「静江さん。やめてくださいな」

「あ、すみません。ふふ」



今でも、五条家の下女にはあの頃を知る者がいる。

坊ちゃんが忙しくなってから、この家を去るものもいたため、今では私を含めて3人ほど。



「またお花を植えないとですね。今や、初枝さんの趣味になってますけど」

「本当にお優しいんだからっ。今年は何にするんですか?」

「さぁ…何にしようかね」



徹底的なセキュリティがあるわけではないこの屋敷に、まさか小さな女の子が侵入してくるなんて、誰も思っていなかった。

名のある家に不法侵入するとどうなるかなんて、不文律で誰もが分かっているだろう。

だから、小娘を見つけた時は思わず手を上げてしまった。


それに懲りずに何度も、何度も。

もし、上に漏らしていたら、きっとあの小娘の命はなかっただろうに。



「婚約、認めてあげるんですか?」

「はっ…。まさか」



坊ちゃんにはもっと素晴らしい人がいる。

気品に溢れて婉容な女性。

1歩後ろを歩くような奥さんが望ましいというのに。


──小娘が坊ちゃんの腕を引っ張る絵が思い出された。


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