第26章 三度目のクリスマスプレゼント
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あれだけ昔苦戦していたのに、努力かなんかで反転術式を使えるようになるとは。
本当に恐ろしい子だ。
「家入さん、学長が呼んでます」
「あー、追っ払っといて」
「え…」
「…はいはい、行きますよ」
とりあえず、方針やら被害状況やらが纏まったのか?
そうじゃなくて、普通に呼んだだけならぶっ飛ばす。
「忙しいところすまんな。少し抜けられるか?」
「用事によります。出来れば抜けたくない」
この状況分かって言ってるのか?
「…夏油の件だ。悟が勝手に話を進めてる」
…私は医師だ。
医師ならではの仕事をする義務がある。
「何の話を進めてるって?」
「詳しくは知らんが、本来硝子が行うべき仕事……解剖とか、そういう系統の話だ。別の者にやらせる手続きをやってるらしい」
そして、今回の主犯と関わりがあった人物だ。
変な同情をかけられる可能性がある。
「どこにいるんです、あれは」
「安全対策課の窓口」
「すぐ行きます」
何をやってくれてるんだ。
「…ん、待て。あれは千夏か?」
「ああ…そうですけど。千夏も連れてった方がいい?」
「いや、ややこしくなりそうだ。それに、別件の話がある。一刻を争う患者はいるか?」
「いや。命の危機に晒されてる患者は治したか、死んだかの二択です」
そう言って学長は千夏の元へ、私は五条を殴るべく動いた。
本当に五条は余計なことをする。
夏油を殺す、という方針がたってから諸々の覚悟はしていた。
遺体を外部に委託するなんてことはしないだろうから、きっと全部自分がやるのだろう、と。
五条と千夏は、最終的に夏油を殺すために動いていた。
千夏は「私が殺す」と言い、五条は「千夏には手を下させない」と。
そして、私は「私が弔う」と。
誰1人口には出さなかったけれど、夏油が起こした不始末は私達が解決する……解決したい、と思っていたはず。
少なくとも、私はそうだ。
なのに、どうして五条だけが背負う。
どうして……!!!!!