第26章 三度目のクリスマスプレゼント
「あの落雷はお前のせいか?」
悪びれもなく答えると、後ろから舌打ちが聞こえた。
特に何も思わない。
契約だとか、ルールだとか、一方的に告げてきたものを取り出して、私を責め立てる。
聞き流して、適当に返事をして。
時間だけが過ぎていく。
「まさか、今日の百鬼夜行に関わっていまいな?」
この発言に釣られて、周りが騒がしくなる。
夏油傑が宣戦布告した時に、私の存在をほのめかすようなことを言っていた。
もしかして、裏で繋がっていたのではないか。
乙骨憂太がお前に似ているのも、偶然ではないのではないか。
お前が全部仕組んだのではないか。
全く、いい加減にして欲しい。
「夏油傑、五条悟、家入硝子、八乙女千夏。お前らの代は一体どうなってる…」
「まぁ。1人消えたことで、厄介事が減って良かったじゃないか」
この一言は私の逆鱗をかすめた。
夏油傑は厄介事ではない。
彼の思想は行き過ぎたものだけれど、1つの案として存在すべきだ。
実行するのは決して良くないけれど、そのような生き方を選んだ人の歴史を抹消するのは間違っている。
私は引き止める言葉を無視して、建物を出た。
「…失礼します」
誰かに伝える気のない声でホールに足を踏み入れた。
今はけが人で溢れかえっているが、いつもはもっと寂れた印象だ。
ゆっくり辺りを見渡して、硝子を探す。
そのついでに、今回の被害程度を心に刻む。
(忙しそう…)
当たり前だ。
傑のことが片付いても、怪我は一瞬で治るわけじゃない。
端っこに寄って腰を下ろした。
膝に顔を埋めれば、考えたくないことばかり考えてしまう。