第26章 三度目のクリスマスプレゼント
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目が覚めると、真っ先に灰色の天井が目に入った。
体を起こすと、体中に違和感を感じて、反射的に腰に手を置いた。
部屋の中には簡易的なベットと小さなデスクだけ。
悟の家でないことだけは確かだ。
下着と服を身につけ、唯一の扉を開けると、そこは私が何度も訪れたことのある硝子の仕事部屋だった。
テレビに注目していた上裸の男は、私が小部屋を出ると同時に振り返り、優しい顔をして笑った。
そして、申し訳なさそうに謝罪した。
その謝罪に定型文で返すと、部屋の主である色っぽい女が部屋に入ってきた。
目覚めの1杯と言って渡されたマグカップに口をつけると、分かりやすくアルコールの匂いがして、顔を顰めた。
そんな私を見て彼女は笑い、もう一方のマグカップを渡してきた。
私の大好きな飲み物だった。
彼女はお酒を1口飲むと、男の顔を見てため息をついた。
そして、私の方を見て愚痴をこぼす。
その愚痴は私と彼に向けられたもので、ここに私たちがいる経緯を示していた。
数時間前に私を抱き抱えた彼が姿を現し、ド直球に行為の名称を理由に掲げ、部屋を貸してほしいと頼まれたらしい。
私は何も覚えていなかった。
そこら辺で1番古い記憶は、悟が私の体をまさぐっているものだからだ。
そんな淫らな理由で部屋を貸してしまうのは、彼女の優しさということにしておくのが、最も平和的である。
そう結論づけた矢先、私達が致している間に溜まった仕事は、後日別の形で請求すると言われた。
これを聞いてしまうと、彼女の優しさに疑問を呈す。