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【呪術廻戦】infinity

第26章 三度目のクリスマスプレゼント


*****


「んじゃ、とりあえず硝子さんの所に行くか」

「憂太、ほら立て」

「う、うん」



片腕が無くなったパンダが、憂太の背中を叩いた。

前を歩く3人と1匹の後ろをついて歩く。

10歩ほど歩いただろうか。

突然憂太が立ち止まった。



「五条先生!」

「んー?」

「そういえば、千夏さんが…」



憂太の視線が、血溜まりに移る。

鮮明な赤ではなく、既に乾いてどす黒くなっているが、事の甚大さは十分に伝わる量と色だった。

憂太の視線と、先程一瞬だけ顔を合わせた千夏の姿と重ねると、きっとこれは千夏のものなのだろう。



「心配いらないよ。多分、大丈夫だから」

「今、どこにいるか知ってますか…!?」

「なになに。そんなに千夏に会いたいわ…け」



筋肉が痙攣した。

生徒達も同方向にただならぬ気配を感じたようで、一同口をあんぐりとさせていた。

それを煽るかのように、激しい音が鳴り、地が震えた。



「地震か?」

「…明太子」

「この気配…何か嫌だな」



聞こえてくる言葉を流しながら、僕は小さくため息をついた。

大凡の予想は立っている。

嬉しいような、少し面倒臭い、そんな感じの予想。



「ごめーん。皆、先行ってて」

「どこ行くんすか」

「じゃーね」



一体、アイツは何をしたのだろうか。

千春と喧嘩したと聞いていたけれど、この呪力量は千夏単体のものではない。

…まさか、千夏はまだ成長しているのか?

異様な雰囲気に導かれるまま移動すると、案の定千夏の後ろ姿があった。

そして、その周りのものはことごとく粉々になり、周囲には焦げ臭い匂いが立ち込めていた。



「千夏」



余程集中していたのか、声をかけると千夏は少し跳ねて、小さく声を上げた。

口元を押えて、お化けでも見たような顔。



「さと、る…!」



気がついたように僕の方へ駆けてきて、肋が折れそうなほど強く抱きしめられた。
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