第24章 熱血サンタクロース

「それで、何の用だ」

「特に用は…」

「はぁ？」

「あるよ。忙しい所に押しかける、それなりの理由がありました」



指を立てて、学長に突き立てた。

今にもストレスでどうにかなりそうな学長に、せめてもの救いとして早く話を終わらせてあげよう。



「コンブを引取りに来ました」



部屋の隅でモゾモゾと動いていた物体に掌を向けて、こっちに来るように意識を向けた。

すると、磁石に引っ張られるようにコンブが飛んできて、手中に収まった。



「久しぶり。こんなに長い間離れたの、初めてだったね」

「…なんで迎えに来たのさ」

「怒ってる？」

「なんで、迎えに来たの」



不満そうなコンブに向かって、にっこりと笑った。

そして、眉を上げて意志を伝える努力をした。



「まさか…。本当に？」

「うん」

「なんで？Qは…頑固じゃん！」

「私、勘違いしてたみたい」



コンブは人形ながらに慌てて、チラチラと学長の方向を気にした。



「…まさか、学長に言ったの？」

「い、い、言ってない、言ってない……ふぎゃ！」



コンブの体を握りしめ、上下に振った。

分かりやすい嘘をつくくらいなら、最初から真実を言って欲しい。

嘘だ、嘘じゃない、と言い合うのは、時間の無駄だ。



「違うんだよ！がくちょーが、無理矢理聞いてきてぇ〜！」

「そうなの？学長さん」

「いや、コンブから…」

「学長！裏切り！最低！」



何あともあれ、学長に計画が漏れたのは痛手だった。

学長の性格上、止めようとするのは確実だ。

破綻する予定の計画を行おうとは思わないから、今一度作戦を変えて正解だったと感じた。



「皆、何の話してんの？意思疎通みたいなことしちゃってさ。僕も輪に入れてよ」

「…まぁ、悟に伝わってないだけ、良しとするか」

「千夏〜、聞いてますかぁ〜」



悟は横に置いといて。

コンブを学長に向かって投げた。

暴力反対だとか、色んなことを言われたが、計画を漏らしたのならば、コンブは最後まで学長に情報を学長に伝えるべきだ。



「無視しないでよ」

「してないよ」

「いや、してたじゃん」

「そう？」



コンブが渋々学長の耳元に移動したことを確認すると、部屋の扉が開いた。