第24章 熱血サンタクロース
「はぁ。もうクリスマスイブか」
「早いね」
「本当に」
二人とも食べるスピードが速いので、どんどんおかずが消えていく。
「なんか食欲なくなってきた」
「今日はちゃんと食べようって決めてたじゃん」
「そーだけど…」
「今食べないと、夕方までもたないよ」
夕方。
日没。
「そうだね。ちゃんと食べる」
食べ物が喉で止まっているような気がする。
これ以上食べれない。
食べたくない。
けど、食べる。
「頑張ろ…」
二つのことを考えながら、問わず語り。
目の前の食事と、百鬼夜行のこと。
「…無理しなくていいからね」
悟が言ってくれたのは、朝ごはんのことだろうか、それとも百鬼夜行のことだろうか。
前者にせよ、後者にせよ、何も答えないのがベストだと思った。
「悟は新宿?」
「そうだね。千夏は自由に動けていいなー」
「死人だからね」
学長と悟と約束させられたのは、二つだけ。
学生を守ること。
そして、決して死なないこと。
それ以外はどこに行っても、何をしてもいいと言われた。
「悟。一つ確認して言い?」
「何?」
吐きそうだ。
これ以上口にものを入れるのはやめておこう。
「私は傑のことを本気で殺すつもりだよ」
「そりゃあ、僕だって…」
「殺すってことは、傑が死ぬってことだよ。もう話せなくなるし、会えなくなるよ。悟のことだって、忘れちゃうかもしれない」
血も涙もないことを聞いていることは、自覚している。
けれど、この確認はとても重要だ。
「傑がもたらす不利益は甚大なもの。だけど、”本当に”殺していいの?傑は人間だよ。呪霊じゃないんだよ」
これが最後の確認だ。
私は傑の味方ではないし、学長の味方でもない。
上層部の味方でもないし、非術者の味方でもない。
いつだって悟の味方だ。