第24章 熱血サンタクロース
テレビをつければ、どこもかしこも装飾だらけ。
天気予報のお姉さんが、鼻を赤くしながらバックにあるツリーを褒めた。
「悟ー、おーきーてー」
「ん…。いい匂いがする」
最後の晩餐ならぬ、最後の朝食。
それに、せっかくのクリスマス・イブだ。
豪華にいこうじゃないか、と思い、早起きをして9種もの品数を作り終えた。
「うまそー!」
「ほら、早く顔洗ってきて」
冷えた足元を温めるためにストーブの前に移動。
悟が戻って来たことを確認すると、ご飯を盛ってから着席した。
「「いただきます」」
サンタクロースだとか、チキンだとか、ロマンチックな告白だとか。
誰もが浮かれている中で、私達呪術師は世の中の空気にそぐわず緊張している。
けれど、私達は呪術師でありながら、朝は食欲が湧かないというのに、呑気に豪華な朝ごはんを食べている。
ずっと前から、この日はこうして過ごそうと決めていた。
サンタクロースを待ち侘びる、ちょっぴり特別な朝を過ごそうと…。
「千夏って、やっぱり料理上手いよねー」
「悟って料理出来たっけ?」
「簡単なのだったら」
「…その割には道具少ないけど?」
「この家、全然使ってなかったからね〜。今度、買い物行こうよ」
「何買うの?」
「キッチン用品とか、食器とか、洋服とか、ベットとか。全部2人用に揃え直さないと」
当たり前に同棲することが決まっていて、少し嬉しい。
食材の買い出し以外で普段外に出ることはないから楽しみだけど、悟と一緒に買い物というワードが怖い。
信じられないような額の金が、一気に飛んでいく予感がする。
「…考えとくよ」
「嫌だった?」
「手が震える」
貧乏性の私には、数枚の万札に触れるのも緊張する。
箸を一度置き、ズボンで手汗を拭った。