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【呪術廻戦】infinity

第23章 口走る本音


*****


家に帰ると、千夏は机に突っ伏して寝ていた。

ベットで寝ればいいのにと思ったが、周りの様子から寝落ちしたのだろうと予想する。



相変わらずの”可愛くない”寝顔を”可愛い”と思いながらも、その気持ちに純粋さはなかった。

濁りきった不純物が混ざっている。

そんな自分が大嫌いだ。



「千夏、起きて」



体を揺らすと、千夏はゆっくりと目を開けて、僕の名前を呟いた。

カラッカラの声で奏でられた自分の名前は、何とも物寂しい雰囲気を醸し出した。



「泣いてた?」

「すこ、し」



コップ一杯の水を差し出すと、千夏は喉を鳴らして一気に飲み干した。

少し腫れた瞼が主張している中、いい飲みっぷりだ。



「これ、後で届けて下さい」

「預かりました」

「お願いします」

「頼まれましたー」



丁重に預かったのは学長宛の手紙。

折れないように懐にいれ、頭を下げている千夏の髪を撫でた。



「犬みたい」

「吠えてやろうか?」

「えっ、見たい見たい」

「冗談に決まってんだろ」



懐かしい口調。

僕との距離を示す口調だった。

流石に無視することは出来ず、けれど僕側から話を切り出すことも気に食わない。

原因を作った側を気遣う余裕はなかった。

ならば、思っていることをオブラートに包まずぶつけるしかない。



「僕、今の千夏を丸っきり信用できてない」



分かっていたのか、千夏が特別反応することはなかった。

ごく普通に相槌を打っただけだった。



「これって、付き合って数日の話じゃないよね〜」



だから、深い考え無しに思ったことを言ってしまった。

これが吉と出たか凶と出たかは分からない。

僕には判断できなかった。


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