第23章 口走る本音
「がくちょー。五条悟、もう居なくなったよ」
きっと、千夏の元にでも行ったのだろう。
特に気にすることはない。
「ねーねー!五条悟、怒ってたね」
「そうか?」
「ありゃー、Qと何かあったね。ずぇーーったい!」
お喋り呪骸、コンブちゃん。
笑いながらデスクの上を飛び回っている。
話す以外に能がないように思えるが、中々侮ることはできない。
「これで、いいんだよな」
書棚に並べられた本を、目的もなく取り出しては眺めた。
全く頭に入ってこない。
「うん。後は五条悟頼みかなぁ」
悟は後で千夏からの手紙を持ってくると言っていたが、実を言うとそんなものはいらない。
なぜなら、千夏が高専の情報を傑に流したことも、千夏がその事に負い目を感じていることも、全て知っているから。
そもそも、垂れ流された情報もほとんどが嘘。
それっぽいことを並べただけだ。
だから、こちら側が痛手を負うことは無い。
このことを知っているのは、自分と1羽。
「お願いだから、Qを死なせないでよ」
「もちろんだ」
傑の宣戦布告を除いて、ここまでの流れは上手くいっている。
全て、計画通りだった。
始まりは単なる依頼。
縛りでも何でもない、普通の頼み事。
これ以上、こうしておけば良かったとか、ああやって声をかけておけばよかったとか、後悔したくない。
『八乙女千夏の計画を壊す』
利害の一致により、俺とコンブは手を組んだ。