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【呪術廻戦】infinity

第22章 一握の優しさ


*****


『悪い、帰れなくなった』



そうメッセージを送ると、数時間後に『了解ー!』という淡白な返信があった。



(もう少し、何かあっても良くないか?)



仮にも感動の再会から2日目だ。

しかも、恋人同士になってから24時間もたっていない。

恋仲である八乙女千夏からの連絡に不満を抱きながら、携帯をしまった。



「どうする。ここに留まるか」

「その予定。いつ来てもおかしくない」



学長の肩には可愛らしいマスコットが。

聞くところによると、千夏の呪骸だとか。

以前、電話越しに話したのは、こいつだったらしい。

自分でそう言ってきた。




今日、とある場所で傑の呪力の残穢を確認。

息をひそめていると思ったら、突然出てきた。

昔からパフォーマンスやらに段取りを求める奴だったくせに。

しかも、その現場には憂太がいた。

ややこしいことにしないでもらいたい。






この一件を理由に、この日は学校に泊まった。






家に帰ったのは、次の日の昼間だった。


帰ったと言っても、数分滞在しただけ。

千夏の様子を確認しようと思ったのだが、部屋にいなかった。

昼間だし、どこか出かけてるのかと思ったが、同日の夜にもう一度戻っても、千夏はいなかった。



束縛男と思われることを覚悟して、千夏に電話をかけた。




出ない。




(…怒っちゃうよー)



本気の怒りを感じながら、もう一度電話をかけると、ワンコールで出た。



『ごめん。お風呂入ってた』



電話に出ない理由が『逃亡』でなくて安心したものの、その理由も理由でツッコミどころが満載。



「どこで」

『え?ホテルだけど』



千夏の頭がおかしいのは知っている。

けれど、ここまでとぼけられると、流石に心配になる。



「今どこいるの」

『今は京都。本当は旅館が良かったんだけど、お金なくて』

「何で…京都に…」

『用事のついで。歌姫に会おうとしたけど、厳しそうだったからやめた』



それなら、事前に言ってくれれば、アポを取ったのに。

危険なことはしないでもらいたい。

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