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【呪術廻戦】infinity

第22章 一握の優しさ



「1つ。呪霊を取り込む際、主従関係とか関係ないよね?」



おっと。

彼女の落ち着きははったりではなさそうだ。

その手の質問が彼女の口からでるとは、予想していなかった。



「そんでもって2つ目。呪霊操術って呪霊を操るだけじゃないでしょ」

「その心は?」

「術式の抽出。そして、放出」



仮説の事実性は置いて、彼女の目の付け所はいい。

どうやら、彼女は私の知っている彼女ではないようだ。



「千春の知恵か?」

「半分は……と言いたいけど、ほとんど千春の知恵」



千夏は部屋をウロウロし始めた。

目的は未だ謎のまま。



「何で千春はそんなことが分かったと思う?」

「さぁ。千春のことはよく知らない」



窓のサンを指で擦り、汚いと漏らした千夏。



「もしさぁ、千春が傑の親戚だったって言ったら、どうする?」

「…どうもしないよ」

「そう?この仮説が立ってから、私は傑に聞きたいことが沢山できたけど?」



千夏は世渡りが上手い。

情報には情報を。

彼女はそのことを分かっていた。



「11月30日時点での高専の情報。あげるね」



千夏は紙束を端に避けてあったテーブルに置いた。

高専の情報…。

やはり今の彼女は頭がキレるようだ。

私たちが何をしようか分かっているように感じる。



「こんなことして、悟に嫌われるんじゃない?」

「そんなの、ここに来た時点でアウト」

「そっか。2人の仲に進展は?」

「昨日、付き合ったよ」

「それはおめでとう」

「ありがとう」



かつての親友の恋が成就して、喜ばしい限りだ。

なにかお祝いを持っていこうか、等と考えてみたが、似合わないことを想像するものではないと思った。



「さぁ。話せ。お前の家系のこと、全てを」

「…いいけど、望む情報を与えられるか分からないよ」

「結構。傑が実親を殺してくれたおかげで、手がかりは君しかいないんだから」



彼女が何を望んでいるか分からないが、とりあえず記憶にある元家族のことを話した。

彼女は終始眉間に皺を寄せていたが、話が終わると少し柔らかい顔に戻った。



「以上。もういいかな」

「うん、ありがとう」



そう言って、彼女は笑った。

何が分かったのか聞かせてもらいたいところだが、先程から嫌な予感がしている。
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