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【呪術廻戦】infinity

第22章 一握の優しさ




「ちょいちょい、そこをどいて」

「はぁ?」

「お客様に立ってろって?あんたが寝転がらなければ、私が座れるの。ほら、どいたどいた」



菜々子に言うことを聞いておけ、と指示を出し、ワガママな彼女の要望を叶えた。

念願のソファに座ることが出来た彼女は、偉そうにふんぞり返り、荷物を前に置いた。



「それは?」

「刀。見る?」

「結構」



彼女は刀など使わなかったはずだ。

ここ10年の彼女の変化は未知数。

今言えることは、彼女のわがままで脳天気なところは、何一つ変わっていないということだけ。



「それで、なんの用?」

「傑に聞きたいことがあって」



彼女は周りに飴を配っていたが、誰一人受け取らなかった。

流石に可哀想だったので1つ拝借すると、徐々に皆も受け取り始めた。



「聞きたいこととは」

「傑の親戚のこと」

「親戚?」



私の親戚を聞いて何になる。

彼女の意図が全く読めない。



「警戒すんな。普通に聞いてるだけじゃん」



確かに親戚の名を知られて困ることなど、そうそうない。



高専時代は滅多に見られなかった、彼女の考える顔。

10年という歳月は、人を大人にすることを知った。



「傑に裏切られてから、とことん傑を疑ったんだよね」

「それは大事だね」

「それで、幾つか面白い仮説が立ってさ」



名探偵のように淡々と話を進めていく。

その話し方は少し鼻につくから、今すぐやめてもらいたい所だが。



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