第21章 紡いだ新たな線
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悟の肩に頭を乗せて、グリグリと頭を動かす。
「眠いねー」
「眠いねー」
「うわ、インコがいる」
「インコだー」
馬鹿な会話だと分かっているけれど、こういう時間は結構大切。
「…そういえば、私達って何?」
友達?
親友?
それとも…恋人?
今まで1度も確認したことがなかったことに、密かに驚いた。
「友達で、いいの?」
今、あの目に見つめられたら、頭がショートしてしまうだろう。
悟の着ているシャツの英字をゆっくりとなぞることに集中した。
「千夏は、友達”が”いいの?」
腰をグッと引き寄せられ、そのまま背中を押さえつけられた。
密着度がさらに上がり、英字をなぞることができなくなった。
「別れがあるなら、友達がいい」
というか、どうせ別れないといけない日が来る。
悟は呪術師として頂点に立つ家に生まれた。
現在、五条家は悟1人で名を生していて、ゆくゆくは結婚をして子孫を残さなければならない。
その一連の流れに、私の名前が出てくるとは思えない。
呪術師最強の男と呪術界から追放された女。
周りに反対されること間違いなし。
「友達なら、別れとは無縁でしょ」
背中が楽になって、悟が起き上がった。
腕を引っ張られて、シングルベッドで向かい合った。
「…ったく」
宝石のように輝く瞳が、月明かりに照らされた白髪と共に、幻想的な絵を生み出している。