第21章 紡いだ新たな線
「実はさぁ、”乙骨憂太、処刑!?”って感じなんだよねー」
アマゾンの森を回想している中、悟が軽い口調で重い話をぶっ込んできた。
「そんな軽い問題じゃないでしょ!何があったのさ」
「リカちゃんが顕現しちゃって、上層部の不安が爆発しそう♪」
「だから、そのテンション…」
「実際、憂太は1度秘匿処刑を受け入れちゃってるし…」
「ぁ!?」
「とりあえず、呼び出されたよねぇ。憂太を高専で預かるって言ったの僕だし」
私が呑気にお話していた間にそんなことがあったとは…。
学校生活が1日で終了なんて、可哀想極まりない。
「明日、私に乙骨君預けて」
「ダメダメ。千夏、バレちゃうじゃん」
「こういうこともあると思って、事前に準備してきた」
「やっば。千夏が覚醒してる!」
「褒めよ、讃えよ、我、八乙女千夏なり」
思っていたよりも、乙骨君は気が弱いみたいだ。
こちらも早く手を打たなければならなくなりそうだ。
とにかく、明日の予定は明後日に変更。
結構大事な予定だけれど、今日だけで2回も後回しにされている…。
「あ、でも。憂太は常に監視されてると思ってね」
「え…それは…」
「ん…?」
、、、。
「そこまで考えてるわけないじゃん!」
「あはは!だと思った〜!」
話をする場所は入念に準備して決めていたけれど、そこまでの移動等は全く考えていなかった。
「じゃあ、この話はボツね」
「えー!」
「電話で話す?」
「それじゃあ意味ないもん」
自分には口頭で説明する力がないことを知っている。
『こんな感じ!』という感覚論で話す方が得意なのだ。
(あ、でも…)
私の存在がバレてしまうことが問題ならば、それを解決すればいい。
私が抱えている重要な予定で、万一の可能性として私が戦わなければならない場合がある。
もしそこでその可能性を引き当てたとすれば、乙骨君に会うことも可能に…。