第20章 昔話のハッピーエンド
「あっちもナンパされてるな。硝子もいる」
傑君も見つけたのか、手に持っていた焼きそばのパックを下に置いた。
傑君が指さした方を見て、やっと悟君も気づいた様子。
一気に悟君の顔が不機嫌になった。
「あんなんどーせ、硝子目当てだろ」
「その割には焦ってるように見えるけど?」
「そんなキモイ笑い方するくらいなら、助けに行ってやれよ」
「あの2人に助けが必要だとは思えない」
「確かに」
悟君と傑君はは笑いながらも、決して女子2人から目を離さなかった。
(…ふーん、愛されてんじゃん)
何となく関係が分かってきた。
本当に仲がいいようだ。
2人の予想通り、男達は硝子ちゃん目当てだったらしく、分かりやすく千夏と距離をとった。
そして、不服そうな千夏が男に詰め寄り、男達は笑いながら困っていた。
最終的には男達が逃げていき、千夏が去る背中に何かを叫んでいた。
「ぷははは!マジでウケんだけど…!!」
「ククク…!!千夏ほど男らしい女はいないな…!」
一連の流れを見て、2人は大爆笑。
釣られて、私も笑ってしまった。
おばさんから聞いた千夏と、今鑑賞した千夏が違いすぎて、面白いったらありゃあしない。
「千夏にもおねーさん達に みたいに可愛げがあればいいのに」
「またまたぁ〜。その千夏ちゃんに怒られちゃうよ?」
「いーの、いーの。慣れてるから」
おばさんの話とはかけ離れている、例の千夏ちゃん。
世界の総人口も、日本の総人口も知っているが、あれが探し求めていた千夏であることを疑わなかった。
むしろ、彼女の姿を確認して、確信したほどだ。