第3章 共通認識
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「おーい、千夏!早くしろー」
「荷物見て。重いんだよ!」
今とは正反対の真冬。
私たちは巡回という名目で、原宿の竹下通りに来ていた。
「男ども。なんのためにそこにいる。荷物持ちだよ、荷物持ち!」
休日用の洋服を揃えたため、私と硝子の荷物は紙袋10個越え。
まとめればもう少し減るはず。
「あのね。君たち、目的わかってる?巡回よ、巡回」
「その手に持っているのは何かな?クレープに似た呪具なのかな?」
クレープ3個持ちの白髪と、クレープ1個で音を上げた前髪変男。
「とりま、裏行く?」
「おっけー」
さすがの私達でも仕事はちゃんとこなす。
殴られるのは痛いし、怒られるのは精神削れるし。
「か、可愛い…」
「あれ。千夏って光り物好きだっけ?」
「好きじゃないよ。でも、これ可愛くない?」
金色のブレスレットを硝子に見せ付ける。
けど、反応はイマイチ。
硝子はその隣にあったデザインの方が好きみたい。
「女の買い物は長いな」
「先行くか?」
「ギロッ!」
「「……」」
散々悩んだ結果、何も買わなかった。
飴を買うお金を取っておくには、ここで節約する必要があったから。
惜しいがそこまで欲しいわけではなかったので、あまり落ち込みはしなかった。
『可愛い』と『欲しい』は必ずしも繋がらないものだ。
男性陣には全く理解されず、嫌な目で見られたが…。