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【呪術廻戦】infinity

第20章 昔話のハッピーエンド



*****



「じゃあ、ここに来るのは…!」

「だいじょーぶ。連絡はしてあるから♪」



私が心配している横で、彼女こと、八乙女愛華は笑った。

その笑顔は不安を助長させる。



「無理してない?」

「ヘーキヘーキ!逆に、ちょっと楽しみ。不良少女の帰還にどんな顔をするんだろーって」



そう。

私たちははるばる彼女の実家、八乙女家に向かっていた。

彼女にとってつらい思い出がたくさんある場所であろうに、愛華は愛らしく笑っている。

道中で購入したホールケーキと18本のろうそくを持って。



「うわー、何も変わってないわー」



一つもためらわずに愛華がインターホーンを押すと、自動で大きな門が開いた。

腰が引けている私を連れて、意気揚々と進む愛華。

大きな庭を横断し、玄関に向かう。



「お待ちしておりました」



出迎えてくれたのは、背筋の伸びた女性。

愛華が生まれたころからこの家に仕えていた人らしい。

口はへの字に曲がり、某映画の継母を彷彿とさせる。

歓迎する様子は微塵もなく、業務の一環として、私たちは家の中に招かれた。



「…ふん。なんも変わってねーし」



先ほどの女性を前に、愛華がボソッと呟いた。

そう呟いた愛華の顔は、とても寂しそうだった。

声をかけようとしたが、それよりも先に愛華が話しかけてきた。



「準備はできてる?」

「う、うん」

「緊張しないの!」



背中をバシッと叩かれ、女性らしからぬ声が出た。

継母顔の人はちらりと後ろを振り返り、小さく舌打ちをしたように見えた。

私がこの家に滞在できるのは、もって1時間。

それ以上いたら、この家の人全員によからぬことを言ってしまうだろう。


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