第20章 昔話のハッピーエンド
けれど、彼女の人生は大きく傾くこととなる。
母方の父親が亡くなったことで、母の真の身元が露呈し、彼女の両親は烈しい論争の末、離婚。
母親は家を追い出された。
彼女は経済面での理由から、父親の実家でこれまで通り暮らすことに。
しかし、これが彼女の人生が狂った一番の原因だった。
表面上ではとても華やかな家だが、裏の顔は恐ろしく悲惨だった。
父親が彼女に求めるのはただ一つ。
『完璧さ』だった。
息の詰まるような生活を幼少期から強いられ、時に手をあげられることもあった。
そのため、彼女は父親から愛情を受けたことがなく、彼女自身も父親に特別な情を持ったことがなかった。
そこで、彼女の母親がいなくなってしまった。
高尚な表札に汚点を残して。
親戚からは、『けがれた血が混じった子』として遠巻きに扱われた。
それは、父親も同じで『騙された間抜けな長男』として、陰で噂された。
しかし、父親は商いの才能あり、金の力で自分の”間違い”をもみ消した。
けれど、彼女の場合はそうはいかない。
周りの声に加え、実の父親からも疎まれるようになってしまっては、彼女が自尊心を失うのも仕方のないこと。
名門高校に通う裏で、彼女は夜の街に出かけるようになった。
初めのうちは、一家総出で彼女を叱っては、躾という名のネグレクトを容認した。
しかし、どれだけ叱っても彼女の素行は良くならず、彼女は高校生ながら勘当されることとなる。