第20章 昔話のハッピーエンド
「私は乙骨君が呪いをかけた方を推奨するから、そっち路線で話すけど…。乙骨君からリカちゃんを離す方法は、2つある」
1つは無理矢理、もう1つは平和的なもの。
「1つ目は私が無理矢理乙骨君からリカちゃんを奪う」
要は、乙骨君を私が奪い、リカちゃんを力でねじ伏せればいい。
幸い、リカちゃんは人間ではなく怨霊。
私の力と彼女の力…、即ち力比べをして勝てばいいのだ。
「もう1つは定性的だよ。主従制約を放棄、又は破棄する。リカちゃんがそれに納得していれば、解呪は簡単に出来る。んでもって、解呪成功だね」
「その2つなら、後者がいいかな」
「うん。リカちゃんとは喧嘩したくない。あんなに純情な女の子を傷つけたくないもん」
一人の女として、恋を応援するのは悪いことだろうか。
もしも悪行だと言うのなら、私はそんな貴方を敵に回すだろう。
「例えば、千夏が乙骨君と戦うとしましょう。千夏、勝てる?」
昔の私なら、余裕だと即答しただろう。
「どーかな。無理かもね」
残念ながら、今の私に昔のような力はない。
平均的な力で、平均的な結果を残すのが、今の私。
「まじー?謙遜してる?」
「私が謙遜するような人間だと?」
「そうは思ってないけどさ…」
「もう私にあそこまでの力はないよ。うーん…1級にギリギリなれるくらいかな」
毎日背負っているバッグをひっくり返し、中身を机の上に出した。
「刀?」
「今の主戦力だね」
五条は刀を鞘から出して、まじまじと観察した。
「呪い、か」
「見えるの?」
「昔の千夏に見えてた雰囲気が、刀に移ったように見えたから」
「当たり。千秋と千冬の呪いを貰い受けて、刀に納めたの」
そもそも、刀を使うような仕事は受けないことにしているから、ほとんど使ったことは無い。
けれど、呪力がこもっているから、一般的な刀と比べてみると、多方面で優勢だろう。