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【呪術廻戦】infinity

第18章 カゲロウ




三級呪霊だった。

不意打ちを食らった上にバランスを崩してしまっては、戦う準備ができない。

だから、女の子を守ることしかできなかった。



「いえ、いりさん!」

「あー…」



きっと治癒の力がなければ、このまま倒れていただろう。

大事には至らなかったものの、しばらく動けそうになかった。



「大丈夫!?」

「うん、まぁね」

「ほんとに!?」

「うん。私のことはいいから、早く」



中々呪霊は二手目を出さない。

なぜだ?



「私が、この子を殺すってことだよな」

「当たり前でしょ」

「…家入さんのこと、傷つけたもんな」

「ち、なつ?」

「仕方ないよな」



千夏はぶつぶつと呟き、私の声が聞こえてない様子だった。

自分の手を見てみると、大量の汗が出ていて、自分が冷や汗をかいていることに気が付いた。

地に足がつかないような不安感に襲われた。



「頭、守ってろよ。女の子の方も忘れずに」



すると、千夏は立ち上がり、呪霊に近づいて行った。



「動くな」



そう一言言っただけで、呪霊の動きを止めた。



「大丈夫そう?」

「うん。この子も大丈夫」

「そう。じゃあ終わらせよう」



子供相手にあんなにもびくびくしていた奴が、今では冷徹な言葉を吐き私たちを守っている。

そんなギャップを抱えた背中は、背景からとても浮き出て見えた。



「無事?」

「うん」

「じゃあ帰ろう」



千夏の力はすさまじい。

正直、今回の呪術実習で私がしたことは、千夏が弱らせた呪霊にとどめを刺したくらい。

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