第18章 カゲロウ
「友達欲しかったなら、もっと優しい言葉遣いすればいいのに」
「今はこの喋り方をしないといけないの」
「はあ?」
「話せないから、それ以上聞くな」
文脈が通っていない。
けれど、五条にはなぜか通じたみたいだった。
というより、話を終わらせに来た。
「ま。千夏はもっとフレンドリーになること」
「…ふん」
「二人は千夏と仲良くしてやって」
「お前は千夏の親か」
夏油のツッコミのせいで、新たな論争が勃発。
『五条と千夏は付き合っているのか』
この問いには両者否定したものの、お互いをどう思っているかについては、両者回答を拒否。
私は特に興味がなかったので、適当に話を抜け出し木陰に移動した。
私が抜け出したことにより、話も終盤を迎えたらしく、さほど時間差をつくらずに、三人そろって木陰にやってきた。
「あ、そうだ。午後の呪術実習のペアは、俺が希望出しておいたから」
夏油と五条。
私と千夏。
「なんでよ!私、無理!」
「それはさすがの私も傷つくんですけど」
「そ、そういう意味じゃなくて…。私、まだ…」
「千夏、かもん!」
口をふさがれた千夏は、五条に拉致られ、日向に出された。
ギリギリ声が聞こえない距離で、何を話しているかは分からなかったが、五条が千夏をなだめている構図は理解した。
「改めて。このペアでいいっしょ?」
「…ん」
とても了承しているようには見えないが。
「私は元からOKだけど」
初回ということもあり、腕試しとなる呪術訓練が少し楽しみだったのは過去の話。
今はとにかく、不安で仕方ない。
千夏のことを嫌いにならないか心配だ。