第18章 カゲロウ
「何、千夏、友達いなかったの?」
「うっ」
バシッと千夏の背中を叩いた。
そんなツンツンしてたら当たり前だと、バカにしながら。
「ほら、言われてる」
「五条のせいじゃん!」
夏油を脇でつつき、お前の番だと指示を出す。
「友達がいないって、一人も?」
「…一人はいる」
「それって俺だろ?」
「五条を入れても、別にいいでしょ!」
「寂しくなかったのか?」
「それ聞く!?」
夏油は手を顔に乗せ、必死に笑いをこらえていた。
そして、私も笑いすぎて腹筋が割れそうだった。
「なにさ!みんなして笑って!私、帰る!」
「待てって」
枯れかけの声を使って、千夏を呼び止めた。