第18章 カゲロウ
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千夏と出会ったのは高専。
初めて話したのは、入学してから二日が経った時だった。
「もう一人女子がいるって聞いてたのに」
「まだ一回も会ってないな」
「もしかして病弱な子?すぐに死んだら面白いな」
「縁起が悪い。そういう冗談はやめておけ」
男だらけの場所が嫌なわけではないが…。
というより、男だとか女だとかは、あまり気にしていない。
けれど、女子がいるとやはり心強い。
隣にいる夏油というやつは、いい奴そうに見えるが性格に難がありそうだし。
さっきまでここにいた五条という男は、少し話したけれど結構やばい奴。
こいつらと三年間を過ごすには、強靭な精神力が求められるだろう。
そんなクラスに加わる人は、まともな奴ならば、男でも、女でもいいけれど、女の方がまともである確率が高いことは、経験上知っている。
「なんだその目」
「んー。苦労しそうだって思って」
平和に過ごせれば、何でもいい。
この時はそう思っていた。
けれど、この日。
私は知ることになる。
呪術高専には、平和の「へ」の字もないことを。