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【呪術廻戦】infinity

第18章 カゲロウ


さっきから手に触れていたペンを掴み、彼女に投げつけた。

ペンはまっすぐ進み、彼女の目線上を走る。

普通の人ならば、反射という防衛機能があるため、眼球にあたることはまずない。

しかし、彼女は頭がおかしい。

とがったペンに一切の恐怖心を抱かなかったために、ペンは彼女の瞼に直撃。



「いっ…!ふぅ。こわかったぁ…」



怖い、ではなく、痛いの間違いだろ。

彼女は笑いながら、瞼を押さえていた。



「これがダーツだったら、点数高かったね」



この腹立たしさが懐かしかった。

彼女の悪い癖が、今では懐かしいというポジティブな言葉で表せるようになっている。



「なんで避けないの」



マグカップを手に取り、もう一度投げる準備をした。



「避けたくなかった」



その言葉にいらついて、マグカップを投げた。

液体が飛び散り、マグカップは彼女の頭上を通り、ドアにぶつかった。

そして、割れた。



「はぁ、はぁ…」



誰でもいいから、これが夢だと言ってくれ。






「硝子」







夢でなければ、これは一体何だというのだ。

何年も、何年も、自分に言い聞かせて、自分の力不足を嘆いて。

自分を責めて、思い出がトラウマになって。

彼女が出てくる夢が悪夢となってしまって。

こんなにも苦しんでいたのだと、たった今自覚してしまって。

彼女は私にとって大した存在ではなかったと言い聞かせてきたのに。

全部無駄になった。




「ごめん」




そんな一言で済ませるな。

お前が現れたせいで、お前の死を受け入れてしまった私を、殺したくなるだろ。

消したくなるじゃないか。



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