第18章 カゲロウ
「あと、これね」
「これ、って…」
手に握らされたのは、鉄製の何か。
先っぽはギザギザしていて、薄っぺらいアレ。
「じゃあ、また後で。ちゃんと待ってるんだよ」
五条は私の横に座り込んでいた乙骨君の肩を叩いて、道順に戻ろうとした。
「ちなみに、また何も言わずに消えたら、東京の街を全部壊してでも探すからね」
恐ろしい男だ。
冗談に聞こえないところが、なお恐ろしい。
渡されたカギには、小さなキーホルダーがついていた。
なくさないように適当に選ばれたような、チープなキーホルダー。
先ほどとは違う意味で頬を叩き、鍵をポーチに入れた
(にやけるな、にやけるな)
話ができすぎていて、騙されているのではと思ってしまう。
今からシリアスな話をしに行こうとしているのに、気持ちが全く出来上がっていない。
(き…!り…!か…!え…!)
私が謝らなくてはならない人は沢山いる。
その中でも特に謝らないといけない人に、今日は会いに行こうと思っている。
まずは…。
そうだな。
私の親友に会いに行くとしよう。