第17章 バースデーカード
『逆探知を仕掛けた。お前は誰だ』
逆探知。
千夏の名前は禁句だったのだろうか。
「逆探知されても困るようなことはないけどさー…」
『名乗れ』
「はいはい。五条悟です」
またブザー音が鳴った。
『うん。電話番号からして本人だね。うーん。どうしよっかな』
「千夏と代わってくれないかな」
『うーん』
ブザー音が定期的になっている。
「悩むことないっしょ~」
『いやー。登録されてない番号からの電話で、Qの名前が出たら、全部切れって言われててさ』
「俺でも?」
『あの五条悟だろ?本人ってことは確認取れてるけど…。怒られたくないんだよねー』
このアニメ声は一体誰だろう。
千夏と随分親しそうだ。
『うん。やっぱ、このまま切るわ』
「え、それはなくない?」
『ごめんって。じゃ、アデュー。この番号は着拒にしとくから、もう一回電話かけても無駄だよー』
千夏の会話のテンポと似ている。
一方的に会話を終わらせる、あの感じ。
ダメもとでもう一度かけ直すと、やはり着拒にされてるらしい。
携帯を耳から話して、ため息をついた。
次に、冥さんに電話を掛けた。
しかし、冥さんも出ない。
手詰まりだった。
それから定期的に電話をかけても、両者に繋がることは無かった。
どうやら、冥さんにも避けられているようだ。
ネットで『払い屋』や『Q』の単語で検索をけても、望んでいるページにヒットすることはなかった。