第2章 ハグの効果
「千夏ちゃんのエモい話聞きたい人ぉ〜」
「よーし、そろそろ帰るか〜」
「さんせー!」
咳払いをして息を吸う。
息を止めて、ニコッと笑う。
「聞きたい人〜?」
「「「ハーイ」」」
幼稚園児みたいに従順だ。
いつもこうだったらいいのに。
「私ね、多分ろくな死に方しないと思う」
「そりゃ、お前、悪魔だもん」
この時、ギロリという音が聞こえたとか、聞こえなかったとか。
「てゆーかさ、質問」
「はい、どうぞ」
「そういうこと言って、現実にならないの?私、呪言師見るの初めてじゃないけどさ、なんでそんなペラペラ喋れるわけ?」
「そういえば、聞いたことなかったな」
硝子の言う通り、普通呪言師はこんなペラペラと自由に話せない。
語彙を制限しているから。
気になるのは分かるよ、分かるけどさ…。
「今!?私達、一緒にいて結構長いよね!?」
「ちょーっと面倒だったんだよね」
「千夏、話すとカッコつけて長くなるだろ?」
私、不登校になろうかな。
かなしいな、あはは。
「千夏ってエセ呪言師だから。マリカーのスタート時みたいに、エンジンフル稼働の状態でいられないらしーよ」
何故か五条が答えるし。
なんか貶されてる気がするし。
「んまー、だから、特級呪術師とか言っても不意打ちされたら死ぬし、呪言防御されたら、なんもできない。つまり激弱ってこと」
そんなことないよ、って言って欲しかったけど。
皆してなるほどーとか言っちゃうし。
「えっ、じゃあさっき帰ってよかった系?」
「そうだね。今から帰る?」
「うん」
えっ、待って。
私一応硝子のこと親友だと思ってたんだけど。
心の友だと思ってたんだけど!?