第2章 ハグの効果
部屋の前に、学生証が置いてあった。
どこかで落としたみたいだな。
まあ、そんなことはどうでもいい。
ベットにすぐさま潜り込んだ。
訳も分からず心が重くて、何もしたくない。
無力な自分が嫌になる。
呪術師を続ければ続けるほど、自分が生き続けるほど、五条の存在は遠くなる。
そんな時、誰かが部屋に入ってきた。
「おつ~、ちょっと隠れさして!」
「ん~~~…」
「失礼するよ」
「ははっ、ドーナツあんじゃん。もらい~」
私の許可なく部屋に入ってきて、勝手に棚をあさる…。
「麦茶とコーヒー牛乳しかねーし」
「うまうま…モグモグ」
状況を説明してくれる人はいない。
「だれか、説明はないわけ?」
「実は、帳を張るのを忘れてね。先生から逃げてるところなんだ」
「ふーん」
あまり深刻さを感じない。
逆にその程度でよかったと思っていた。
「千夏は寝てていいよ」
硝子はベットまで来てくれて、私の背中を撫でてくれた。
本当にうれしいのだが、少しうざい。
「そんなことして後で金せびられても知らねーぞ」
「…女の子には優しくしろ〜」
「あははは!あっ、こっちの饅頭も食べよ」
「どうぞ」
硝子にこんな感情を抱いてる自分に嫌気がさす。
どんどん自分が嫌いになっていく。
「ちょっとは千夏のこと気遣ったらどうなのさ」
「悟にそんなことはできないよ」
「何言っちゃってんの。俺みたいなナイスガイはなかなかいないぜ〜?」
だからこそ、3人がここにいてくれることに感謝している。