第16章 始まりと終わり
「これ、どーなってんの~」
千夏があくせくしている中で、おじいちゃんが千夏の前にしゃがみこんだ。
「これでもう抵抗できないだろう」
「…誰?」
おじいちゃんが分かりやすく、ずっこける。
千夏も必死に頭を動かすと、やっと思い出したようで。
「あ!私のこと触ってきたクソジジイか!」
「その覚え方はなんだ!失礼だぞ!」
ここで笑ったらおしまいだと思い、必死に耐える。
「だって急に…きゃーーーー!!!」
千夏が縮こまった。
どうやら、やっと自分の格好に気が付いたようだ。
顔は隠れて見えなかったが、耳はイチゴのように真っ赤だった。
「制服返せ!ほんと最低!もう…ゴニョゴニョ」
最後のほうは消え入るような声だった。
思春期の女の子ならば当然の反応だろう。
最初に勇んだことが凄いくらいだ。
「さて。先ほどの話の続きをしよう」
「ゴニョゴニョ…」
「八乙女千夏。お前は何をした」
そっとサングラスを外した。
やはり、小さい頃に見た状況と変わっていないようだ。
怨霊の気配は感じにくくなっているが、このレベルなら凡人でも千夏から嫌な雰囲気を感じるだろう。
でも、それが呪いだとは気づかないはずだ。
「…」
はたから見れば、土下座した女の子を髭の長いおじいちゃんが、責めているだけだろう。
何を聞かれても、千夏は黙ったままだった。
「…仕方ない。おい、五条」
名前を呼ばれ、前に出た。
「この結界なら、まだお前の目は使えるだろ。はやいとこ…」
「もう見ましたって。何ともない、普通の女の子」
俺がそう答えるとを分かっていたように、見張りの人に一枚の紙を見せられた。
ある女の子のカルテのコピーだった。