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【呪術廻戦】infinity

第14章 ラストオーダー


もう、何もしたくない。

何も守ることの出来なかった、自分が大っ嫌い。

あのまま傑に殺されておけばよかった。








涙なんて枯れてしまって、流れる兆しもない。

いくら千春に守られていたからと言って、自分をコントロールできないなんて。

そのせいでこんなことになって。

沢山のものを傷つけたのは、傑だけではなく私も。

私だって傑と同じ、犯罪者だ。






周りは騒がしいはずなのに、おかしいほど静かだ。

暗闇の中に1人。

明けることのない闇に1人、取り残されたよう。







『千夏、動け』








無理だ。

そんな力はどこにも残されていない。









『立て』










だから、無理だって。

千春は本当に酷い。

いつだって私の前にいて、手を引いてくれるけれど、私が転んだ時はいつも手を貸してくれなかった。



「殺してよ…」

『は?』

「私のこと、殺して」

『ふざけたこと言うな』

「殺して」

『口を閉じろ』



「誰も守れない。誰も救えない。人に迷惑かけてばっか。それでも生きろって言うの?」



アスファルトに向かって、か細く叫んだ。

千春が小さく舌打ちをした。



ガヤガヤと騒がしい音が耳を塞ぐ。



誰も答えてくれなかった。

私の心の叫びだったのに。

誰の耳にも届かなかった。

群衆のどよめきに消されてしまった。










私の声は、誰の心にも届かないのか────










「千夏?」










顔を上げると、そこには知らない女の人が。

手に力が入らなくなって、道の真ん中で正座する形になった。





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