第14章 ラストオーダー
「きゃは…」
「千夏?」
なんだろう。
凄くワクワクしている。
「傑。私は傑を止めるよ」
「さっきと言ってることが違うけど」
「傑の考えは否定しない。でも、私はわがままだから、傑を止める。私はこれからも皆の笑顔を見たい。そこに傑が必要なんだよ」
懐かしい感覚だ。
やりたいことだけをやっていたあの頃のよう。
「私を殺す気か?」
「殺さないよ。降伏させるの」
「どうやって?千夏に負ける気はしな…」
傑の言葉が止まった。
後ろを振り返ったが、コンクリート塀があるだけ。
傑は何を見て驚いているのだろうか。
「どうした?そんな面白い顔しないでよ、きゃはは!」
「…どうやら余裕で勝つのは無理そうだな」
何を言っているのだろうか。
勝つとか負けるとかではない。
傑に残されたのは、降伏の道だけ。
両手を広げて空を見上げた。
「私は特別!特別なんだよ!」
傑は体の中から大きな呪霊を、私に向かって放った。
友達に向けるような呪霊ではない。
「それが本気?」
腕を横に振ると、一瞬で消えてしまった。
罪悪感は全くない。
すると、千春がもう一度出てきた。
『千夏。いいんだな』
「いいよ、もうなんでもいい」
『後悔すんなよ』
一瞬考えた。
けれど、答えは変わらなかった。
友達に裏切られ、傷つけられた心は、瀕死状態だった。
『いいよ。思いっきりやんな』
「手伝って?」
『もちろん。私はいつでも千夏の味方だよ』
ハイになるとこんな感じなのだろうか。
何も感じない。
何も感じない。
ただ、今が楽しい。
湧き出てくるアドレナリンが心地よい。