第12章 無駄な生と必要な死
結局、だるまさんがころんだDXは硝子に猛反対されたため、延期。
今日も普通にお喋りをすることになった。
「てかさー、なんで2人は付き合わないの?」
2人。
私と五条のことだろうな。
「両想いだって、分かってるだろ?」
「ははっ…」
言葉の代わりにでた笑い。
感情を失った笑いだった。
言葉を探して、探して、探し回ったけれど、何から言っていいのか分からなかった。
言葉があっても、まとまりがなかった。
「じゃあさ、なんで夏油のことは傑って呼ぶのに、五条は五条なの?」
この質問には答えられる。
けれど、少し恥ずかしかった。
無意識的に頬を掻く。
「だって、らしくないでしょ?」
「らしくないって何」
「私が五条を下の名前で呼ぶのが」
どうやら伝わっていない様子だった。
詳しく説明するか迷ったが、最初の質問にも繋がるような気がしたので、とりあえず思いついた言葉を並べていくことにした。
「傑と硝子とは”友達”っていう線でつながってるでしょ?」
両手の人差し指を繋げて、線を体現した。
「もちろん、五条ともその線で繋がってる。でも、それ以外にも線があるの」
今度は親指同士を繋げた。
大きな輪ができた。
「私は五条悟に命を救われた」
「それって千夏の…?」
「そう」
親指を選んだのは、意味的に正しかったかもしれない。
少し自画自賛した。
「果たして、五条はどっちの線を使って、私を助けたんだろう」
”友達”の線?
”五条家”の線?
「つまり、五条家に救われた可能性があるから、悟を悟って呼ばないってこと?」
「そう。もし五条家に救われたなら、私は五条の友達じゃない。友達の線があっても、私たちの関係の大部分は五条家の線出できてて、気安く関わってはいけない」
「そんなことないと思うけど…」
硝子の呟きには、微笑みで返した。