第12章 無駄な生と必要な死
「そこに”恋人”の線とか、”両想い”の線が加わえてみなよ。もう、大混乱!」
五本の指を繋げてから、全ての縁を切り離した。
「私は純粋なこの気持ちを、五条に伝えたいの。何のややこしさもない状態で伝えないと、後悔すると思うんだ」
後悔はしたくない。
そして、妥協もしない。
だから、私はその時を待つ。
私達が納得するような関係性を築き上げる力を身につけるまで。
「正直意味わかんない」
「あはは」
「でも、カッコイイよ」
「…はは。ありがとう」
私はカッコイイのだろうか。
よく分からない。
「…なぁ、千夏」
「ん?」
「…」
「どーした?」
硝子と2人で不可解な傑を見つめた。
「いや、何でもない」
「なんだよ。気になるじゃん」
「忘れて」
「教えろよ」
「…」
「なーあー!」
バシバシと叩いても、決して口を割らない。
こうやって、意味深なことを言って困らせる奴は、性格が悪いと思っている。
「ったく。じゃあ、私が面白い話してあげる」
「千夏の面白いは、面白くない」
「これはマジで面白いから!昨日、渋谷の方に行った時の話なんだけど…」
笑って。
笑って。
笑って。
「それ、面白い話っていうより…」「肩!肩!虫、ついてる!」
「ん…あぁ、ただの…」「ヤダ!虫嫌い!」
「千夏、虫ダメだっけ?」
「グロイ系はいけるけど、羽生えてるやつはムリ!」
「普通逆じゃないか?」
叫んで。
また笑って。
「…私、みんなのためなら命かけれるわ」
「急にどうした?」
「みんなとの時間を守るためなら、何でもするってこと!」
「はぁ?」
「悩み相談ならいつでも聞くからな~」
「千夏に悩み相談とか…」
「余計に悩むことになりそう」
時折、本音を混じえて。
私たちの夜はふけていく。