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【呪術廻戦】infinity

第10章 誕生の隠匿


何なんだ。

これは夢か?



「みんな…死んじゃいやぁぁぁぁ!一緒にいてよ!!!」



どうして、千秋と千冬はあそこで寝てるの?

寝てるだけだよね?




すると、握っていた手が動いた。




「千夏…!落ち着け」



ふわっと千春から風が吹いたように感じた。

暖かい春の風が、私の髪を揺らした。



「いいか。私の話を聞け」

「うっ……」

「そう。それでいい。落ち着け、な?」



きっとこの時、千春はわかっていたんだと思う。

自分の身に何が起きているかを。



「千夏は弱い。くっそ弱い」

「うっ、ぐ…うっ…」




「泣くなよ」

「だって……」




「泣き虫。いつもみたいに呑気に笑ってろよ。それが千夏の取り柄だろ」

「千春が居ないと、やぁだ…!」




千春だけじゃない。

千秋も千冬もしーさんもいないと嫌だ。




「ったく。じゃあ、ずっと一緒にいてやんよ」

「…ずっと、一緒?」

「うん、ずっと一緒」




千春の言うことは、私の中で絶対だった。

的確だし、千春の言うことを聞いて状況が悪くなったことは無い。

だから、今回も何も疑わずに、千春の言ったことをそのまま理解した。




「やったぁ!」




どんな方法でこの状況を変えるかなんて知らない。

でも、千春が一緒にいてくれると言ったから。

私はそれを信じるだけ。




「…凄く、辛いと思うぞ」

「…?」

「まぁいいや」




震える手で手招きされ、私は千春に顔を近づけた。




「馬鹿な千夏に言っても理解できないだろうから、これだけ伝える」




言われた言葉は、毎日のようにしーさんから言われていた言葉で。




「愛してるよ」




次の瞬間、千春の体がコテっと動かなくなった。

心臓がバクバクして、変な汗が流れた。




「千夏ちゃん。こっちに来なさい」




おばさんに体を持ち上げられたが、私は意地でも千春の手を離さなかった。

ずっと一緒にいるって約束したから。

私がこの手を離したらダメだと思った。




「千夏ちゃん!」

「いや…」

「手を離してっ!」

「いややややぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

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