第1章 千夏様
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強い光。
朝日だ。
こんな健康的な目覚めはそうそうない。
「昨日、風呂入ってねーしなぁ。流石に入っとくか」
重い体を起こして42度のシャワーを浴びた。
机の上には昨日ほったらかしにしておいた食べ物と紙袋。
漫画のヒロインのように分かりやすく機嫌がよくなる。
「よし、みんな揃ってるな」
右から、五条、傑、硝子、私。
みんなきちんと席に座っている。
「今日は全員揃って動いてもらう」
簡単に言うと冥々さんと歌姫先輩の救出。
二日前から連絡が取れないらしい。
場所は静岡県の方。
あとはめんどくさくて聞いてなかった。
「せんせー、私いらなくない?」
「動きたくないだけだろ」
「ちゃーう。冥々さんが怖い。こっちが本命」
冥々さんは悪い人ではない。
けれど、少し苦手。
蛇に睨まれているような感覚になる。
「そんなこと言ったら、私のほうがいらないっしょ」
「2人がケガしてたらどうすんの」
「ちぇ~。ただ、この2人と一緒にいたくないだけなんだけどな」
私は笑って立ち上がった。
硝子の言い分はもっともだ。
「千夏。本当にいかないのか?」
「うん。傑たちだけで絶対大丈夫。寂しい?手紙でも書いてあげようか」
返事を待たずして、私は教室を出た。
先生のため息が聞こえてきたが、無視、無視。