第70章 𝘚𝘦𝘤𝘳𝘦𝘵
私はもう……
悟がいないなら、何もかも、どうでもよかった。
強いて言うなら、私の大好きな人達が生きている未来を作るために、頑張るとか、……そんな感じ。
「ちょっと!やめなさい!!!」
「私が行かないで、誰が行くの」
「五条が適わなかったんだよ!?それに宿儺は…!」
軽く準備運動。
ちょっと寝られたから体も軽い。
「宿儺は?」
「……とにかく、千夏が戦えるような相手じゃないの。やめて」
「じゃあ、どうするの?私は……もう、戦うしかない、のに」
悟がいない今、呪術界は本当におしまいだ。
特に私は守られていた側の人間だから、これからは自分で自分を守らないといけない。
それも、みんなを守りながら。
『……仕方ないな』
「千春さん!!」
『許せ。千夏は頑固なんだよ』
千春がこっちの味方で安心した。
「……硝子」
「…」
「大好き」
最愛の親友にハグをして。
昔と同じように遊びに行く。
「そんじゃ、アデュー♡」
────
───
─
「千春…私達ずっと一緒だったね」
『そりゃあ、ね。これからも一緒だよ』
「嬉しいなぁ…」
悟がいない世界はこんなにも単調で、つまらない景色なんだ…。
千春でも硝子でもなく、悟というパーツがなくなるだけで、こんなにも色がなくなるんだ。
こんな世界はいらない。
だって、許せないじゃん?
私が欲しいのは────
誰も死なない、全員私が救った……そんな幸せな世界。
「っ、」
『ぢ、……な』
ばいばい、────
私は絶対に命あるもの全員を救う。
悟は、皆は、そんな私を、どんな状況でも望んでくれた。
終わる世界があるなら、始まる世界がないとダメだよね?
有を無にできるなら、無から有もできるはず。
術式は想像、だもんね。
「くっ、お前は…!ははははっ!面白い!!!やってみせろ!!」
宿儺……お前の力を借りるよ。
いや、
も ら う よ