第69章 取捨選択
「ねぇ、和田さん」
「んー?」
「良かったね。2人を巻けて」
「…んん!?」
「違うの?てっきり、東京から離れるために来たのかと…」
私は感情が顔に出やすいタイプ。
何も言わなかったのに、ウルハは勝手に頷いていた。
「てか、それより……あ、ごめん」
ウルハが電話をしている間、私も携帯を確認した。
勿論、連絡は沢山入っているけれど、これだけ返していないと死んだと思われても仕方がなさそうだ。
今となってはその勘違いが有難いけれど、この体を維持するためには上の協力が不可欠なわけで、今後未来のことは不安だらけ。
でも、まぁ…今を生き抜かないと意味ないけど。
「…うっさいなぁ……あんただって一丁前に監督してるんでしょ?別に、死んだらそれでいいから……だから、いいってば」
なんだ。
旦那との電話かと思ったのに、相手は伊地知らしい。
「…それに、五条先輩が出てきたら……はぁ?助けられるに決まってるでしょ。あの人はどこにいても絶対戻ってくるんだから……そう、じゃあね切るよ」
電話を切るやいなや、ゲンナリした顔で吐き出す。
「アイツ、五条先輩と過ごして長いんじゃないの?」
「まぁ」
「五条先輩の恋心のこと甘く見すぎ。どれだけ迷惑被ってきたか…」
「はは…」
”和田ちゃ〜ん、どこ行くの〜?……そのついでに、あそこのセ○ン寄ってきて。…そーそー。んで、交ざって帰ってきて?”
”よーよー。暇してるっしょ?……まぁまぁ。それで、これ買ってきてくんね?……それはお楽しみ〜。今日の夕方までによろしくね〜”
”ねね、これ送ってきて。いいじゃん、行けよ”
”……あのさぁ、陰口言うのは構わないよ、人間だし。でも、それを僕の前で言うって……どうなるか分かってんの?”
んん……確かにめっちゃ面倒くさかったかも。
八乙女先輩がいなかったときなんて、荒れに荒れまくってたし、特に五条先輩の前で八乙女先輩の名前出すだけで理不尽に使われたっけ…。
「…だから、ってわけじゃないけど。五条先輩の心配するだけ無駄なの。あの人、最強なんだから」