第69章 取捨選択
やることはみんな分かってくれたみたいだけれど、この村は案外広い。
誰も土地勘がないから、探すのは難しいだろう。
(ま、それ狙いなんだけどねぇ)
要は、時間稼ぎ。
なんのって?
先輩が東京に戻らないように仕向けるため。
裏切り者、ってわけじゃない。
ちゃんと、先輩やみんなを守りたいと思っている。
だから、ここに連れてきた。
(これが私の守り方なんだから…)
ウルハっちは勝手に東京行を決めるし、伊地知は危なくなってるし。
莉央とは連絡つかないし。
五条先輩は閉じ込めらてるし。
硝子さんは現場を離れられるわけないし。
七海先輩は…もう遅いし。
後はこの2人だけ。
2人だけは何としても守らないとダメなの。
私の青春を作ってくれた人は、ずっと私の支えとなっている思い出を作ってくれた人は、絶対に守る。
「手分けする?」
「流石に危ないんで、みんなで回りましょ?」
『暗いしな。効率は悪いが仕方ない』
このまま行けば何も問題は無い。
「ねぇねぇ、コレ終わったら悟の所行っていいんだよね?」
『ああ。伏黒恵との約束はここまでだ』
「おしっ……泣くのは全て終わったら!」
『うん、その通り』
……私、間違ってないよね?
「あれ、復縁したんですか?」
「ううん。でも、ずっと大好きだよ?」
「はぁ〜健気ですねぇ〜」
「なに、馬鹿にしてんの?」
「してますよ。それと、ほんの少しの応援」
「……これ、ウルハの悪い所」
「そう?」
ここには防空壕が今でも残っているし、いざとなれば隠れればいい。
ウルハの術式があれば崩れないだろうし、攻撃を受けても死にはしないだろう。
「先輩達って寝られてますか?」
「うーん…」
『3時間は寝た』
「さ、3時間……え、いつから?」
「渋谷への攻撃が始まってから?かな…」
いやいや、何日経ってると思ってるんだ。
「…寝ます?」
「正直寝たい」
「いいんじゃない?暗くてほとんど何も見えないし、全員で探しても探索しきれるわけじゃない」
『…千夏、寝よ?』
2人は村の入口から少し歩いた、比較的綺麗な母屋で仮眠をとることにした。
ほっ、と胸を撫で下ろしたそのとき。
本当の敵は隣にいた。