第69章 取捨選択
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どうしてこうも、ひとつのことに集中すると他が疎かになるのだろうか。
世の中の人間は、だいたい器用に扱えるようにできているのではないのか。
「ごめんて。色々あってさ…」
《許しますけど……今どこですか》
「おおみや?」
《…これからどこに行く気?》
悲しいことに、私達は死滅回遊に参加することを禁じられている。
でも、やるべき事は山ほどあって。
「【呪舞村】ってところ目指してる」
呪舞村【じゅまいむら】。
昔、訪れたときに術師を化け物として扱う風習を目にした。
それによって酷い扱いをされる子供やオトナをこの目で見たけれど、私には救えなかった。
救ったあと、その子たちはどうなる?
私は逃亡中だったから面倒なんてみれないし、託せる知り合いなんていない。
そんな場所に羂索が向かったらしい。
これは恵から聞いた情報。
今いるかどうかは分からないけれど、目的や手がかりくらいは掴めそうだった。
《それはどこです》
「えっと、地図送る!」
《……まぁ、いいですけど。私も一緒に行くんでどこかで合流しましょ》
…駄目。
これ以上、守りながら戦うことは出来ない。
絶対に怪我をしてしまうし、……ありがとうございます最悪、死なせてしまう。
絶対にダメなのに、ダメなのに…。
「…おっけー!待ってる」
ダメだって…!!!
『おい、それは…』
「分かってる!……分かってるってば…」
ウルハの声を聞いたら昔のことを思い出してしまって、弱い自分が出てしまう。
それは……私だけでなく皆に迷惑をかけるのに、やめられない。
『…ひとつ、提案がある。このまま…海外に逃げるのもひとつの手』
「…逃げる?」
『1回落ち着け…。今の状況をよく考えて、選択しろ』
千春は絆創膏を自分の顔に貼った。
『…その判断になら、何も文句を言わずに従うよ』