第68章 (飛ばしてください)
「そういや、ピルは?」
「…飲みたくないんだって」
と、七海から聞いている。
僕と千夏のことも許されないのに、そこに子供が加わったら辛いのは子供だ。
もちろん最大限守るけど、今まで千夏に苦しい思いをさせたように、子供にも苦しい思いをさせてしまうことは、お互い理解している。
それならばこうなってしまった今、ピルを飲んだ方が安心できるのではないか、と僕は思うのだけれど…。
「だと思った…。一応用意しておいたんだけどね」
「だと思った、って何?」
「教えない」
「…何でだよ」
ホント、コイツ、キライ。
「…千夏に会いたい」
「会うなクズ」
「会いたいよぉぉぉぉ!!!!」
「……はぁ、あのさ。黙ってくれない?集中したいんだけど」
本当の本当に千夏が大好きなのに。
行動が伴っていない。
「寝る」
「お好きに」
──
───
────
「ねぇ」
「ん?」
皿洗いをしている後ろで翌日のゴミをまとめてくれている。
僕達は結構家事を分担する方だと思う。
「悟ってひとりでするの?」
「え?するって…僕の僕を慰める的なやつですか?」
「はい、そうです」
こりゃまた唐突だな…。
千夏は下の話を好まないから、なるべくそういうノリはしないようにしているけれど、こうして千夏から話してくるなら別。
「するけど…」
「どのくらい?」
「え〜……千夏とえっちできない日は大体する」
「それって多い方なの?」
「知らなぁい。千夏は?ひとりでする?」
「私のことはどうでもいいでしょ」
嫌だなぁ。
その返答がどれだけ興味を唆るものなのかわかっていないようだ。
「急にどうしたの?」
「んーん。頻度が少ないなら増やそうかなぁみたいな」
「え?頻度って…営みの回数ってことであってます?」
「そう」
「本当にどうしたの?」
千夏がこんなことを言うなんて。
僕は
昔から
本当に
千夏の気持ちを想像するのが下手だった。
「捨てられたくないだけ。気にしないで」