第68章 (飛ばしてください)
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ども、またまた五条です。
……なーんか、変なことまで思い出しちゃったんか。
ん…ん゛ん゛!!!
おし、切り替えて…。
そうそう。
千夏って本当に抱き締められるのが好きなんだよ。
機嫌いい時はずっとくっついてくるくらいに。
えっちした後にギューって抱きついてきて、
────私だけ幸せになっても嬉しくないよ
……あー。うん。
こんなことを言われることもしばしば。
うん、と応えられるほど簡単なものではないし。
僕が幸せにするね、と言うのは簡単だけど場違いだし。
僕の願いはそれだけだよ、というと怒られるし、本音を言うと僕だって幸せになりたい。
ただ、千夏の幸せの方が優先なだけであって、そう思わないわけではない。
────一緒に、幸せになりたかった
僕だってそうだよ。
でも、僕が願うことは大体叶わない。
だから……望んだらいけないと思ったから…。
その場しのぎのキスで先を塞いだ。
これ以上何も言われないように。
そんな残酷なキスを都合よく振りまいてしまう。
そんなキスも、しばらくしていない。
考えれば考えるほど悔しくて。
他に方法がなかったのかと、いつも考えてしまう。
たとえ過去に戻ったとしても、僕は同じ選択をしただろう。
……こういう無駄なタラレバ話は好きじゃないのに。
反対に、千夏はこういう考え方をよくする。
だから、心が辛くなるのに、やめろと言ってもやめない。
でも、そんな千夏のスタンスが好きだった。
届かないところまで手を伸ばそうとして、現実に落胆するような、馬鹿げた思考回路。
僕が憧れる、絶対に僕ができないこと、したくないこと。