• テキストサイズ

【呪術廻戦】infinity

第68章 (飛ばしてください)




「どうして兄が死なないといけないんですか」


灰原の死後、その妹がアポなしで高専を訪ねたことがあった。
何故か面識がある千夏が対応した。
後に、その面識が有耶無耶かまま終わった例の”灰原との朝帰り”に由来することを知る。


「なんで…!」
「…」
「なんで…!なんで…!兄が……うっ…」


千夏の胸を叩いて泣き縋るのを、俺たちは静かに見守った。
もちろん、同情した。
その一方で、千夏がなんと答えるか興味があった。


「…灰原は強かったよ。でも、生きるにはそれだけじゃ足りない」
「…努力家っ、なんです…!昔から…!」
「うん。いっぱい体作りもしたし、実践も積んでた」
「な、…な、にがっ、足りなかった、って、言うんですか…」


どちらかと言うと、いつも千夏は慰められる側だから、そっちの立場に立っているだけで新鮮だった。
いつも硝子がやるように、頭を優しく撫で背中に手を回す。
でも、言葉は辛辣だ。


「運」
「…ひっ…うぅ……そ、そんなも、のに…命を握られてたまるかぁ…!」
「……そんなもの、が。人の生死を分けるの」
「うぁ…ぁぁ…」


妹を送り届けると言って出ていった千夏の背中は、真っ直ぐに伸びていた。


「…運なんて、千夏がいちばん嫌いな言葉なくせに」
「ても、正直的を得てるよなぁ…」


ちらっと横を見ると、傑はまだその背中を追っていた。
真っ黒なその瞳で。


「…」
「……ん?なんか言った?」


本当は聞こえていた。

───お前がいるからこんなに苦しいんだろ

でも、聞こえたらダメだと思った。


「…いや?」
「どしたの?」
「なんでもない。そろそろ任務に行く準備しないと」


そういや、任務があるって言ってたっけか。
普通に、ごく普通に、いつも通り、クラスメイトを送り出す。




これが例の事件前最後の会話だった。






/ 1115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp