第68章 (飛ばしてください)
「あ。そういえば…」
机の上にあったプレゼントを手に取る。
「これ買ってくれたの?」
「うん。こっちの方が良くない?」
「え、嬉しい〜♡ありがとう」
「ん。ふぁ〜……あ。眠いなぁ…」
「ベット行くぞー」
「おー…」
千夏が色々考えてるのはわかったけれど、それをどうにかする手立てはない。
……術師をやめるという選択肢は存在しないだろうし。
僕が人生で1番後悔しているのは、やっぱりその点だ。
翌日、一緒に硝子の所へ向かった。
2人で会いに行くのは実に久しぶりだった。
「「おはよー!」」
「…」
心底嫌そうな顔を一瞬されたけど、きっと僕の気のせいだろう。
「ねー見て見て!これ千夏が買ってくれた!」
「へー良かったじゃん。で、なんの用?」
…?
「これ言いに来た」
「暇かよ」
「えっと、私は……硝子に会いにきた!」
きっと何も用がなかったんだろう。
元気いっぱいに千夏がそう答えると、硝子は少し固まって手招きをした。
律儀に駆け寄る千夏に、硝子は特大のデコピン。
「仕事しろ」
「この後行くし…!」
「そう言ってこの間は?」
「……硝子の仕事の手伝いしました」
「邪魔、の間違いでしょ?」
「ひ、酷い!」
「え、硝子の仕事手伝ったの?」
「…この子大きい荷物運んでくれたの」
「偉いじゃーん」
「子供扱いするな!!」
硝子はその存在の希少性から、一人の人間が到底扱えないほどの仕事の量を任されている。
そのため、不健康体そのものなのだが、千夏は暇ができる度硝子の仕事を手伝おうとする。
もちろん、専門性も必要な職種であるから千夏が手伝えることはほとんどない。
でも、本人は至って真面目にやる気を出してしまい、硝子も断りにくい状況にある。
だから、適当に雑用仕事を押し付けている現状があるが、千夏は満足気なので今のところ問題は無い。
ま。こんな感じでだべっていたら、当然仕事をしていない僕達は怒られるわけであり、
「時間を考えろ…!」
「「はーい」」
僕たちを叱れるのは(多分)学長だけだから、毎回律儀にここに来て。
「ばいばーい」
「またね」
イライラを募らせている。