第68章 (飛ばしてください)
基本的に、欲しいものや必要なものは伊地知や他の補助監督に言っておけば用意してくれる。
でも、指輪は絶対に自分で買わなくてはならないから、予定を空けようとしたのだけれど、店に行って買いに行く時間もないほど予定がみっちり入っていた。
結局買いに行けたのは随分後になってから。
「いらっしゃいませ」
「すみません、結婚指輪を見たくて」
「本日はおひとり様でのご来店ですか?」
「はい」
事前に千夏には好きなデザインを数個ピックアップしてもらった。
装飾が少なくシンプルなものから、キラキラしているものやで様々だけれどだけれど、一貫して系統は似ている。
「サプライズで…って感じですかね」
「あ、はい。だから1人で…。指のサイズとかは分かってるんですけど、大丈夫ですか?」
「もちろんでございます」
全てのデザインを見せて、色々意見を聞かせてもらった。
予算の方はどうにでもなるから、千夏が希望していた「毎日つけても邪魔にならない」「つけても浮かない」ことをメインに…。
あとは「戦って汚れても大丈夫」という点をいい感じに伝えて…。
「……ではこちらで。彼氏さんの方はどうなさいますか?お揃いにされない方も最近は多いのですが…」
「同じもので。彼女が選んだものをつけたいので」
「ふふ…では、指のサイズの方を確認させていただきますね」
それから約1ヶ月後、完成品を取りに伺って。
後はプロポーズをするのみだった。
すぐにプロポーズをしたかったけれど、千夏の誕生日まで待つことにした。
その日は彼女がとっても大切にしている日だから。
例年、夏は忙しくなるけれど、絶対にその日だけは譲らない。