第67章 隠し事
「…待って。せいしょうたいって、あの、女の子?」
『あの?』
「ビデオで…。その、黒髪で…」
『…ああ。なんか話してたかもしれないな。その子が、ここで殺された』
悟たちにめちゃくちゃ馬鹿にされた記憶がメインだけど、うっすらと顔は覚えている。
あの後、あの子は死んでしまったのか…。
「…名前は?」
『天内理子』
「あの子は天元なのに、今も天元がいるの?」
『別のせいしょうたいが見つかったから』
「…よく分かんない」
『前に説明してもらって…』
「でも、悟……いつも変なところで終わらせるから」
『…また今度説明してやる』
やっぱり悟の教え方が適当なんだよね?
確かに私の理解力は底辺中の底辺だけど、1回くらいは真面目に説明して欲しいと思う。
「あー、いたいた。先入っちゃったかと思ったよ」
千春を除け者にするように私の肩を持つ。
「さー行くよー」
「…さっきはごめんなさい」
「え、何が?」
「なんでもない」
起きること、起きたこと。
全てに後悔してしまう。
「…ちょ、なんで泣いてるの?」
「へ?」
「あんたは本当に…出会った頃から変わらないなぁ…」
ぺちぺちと頬を叩かれる。
泣いている自覚はなかったけれど、ずっと泣きたいとは思っていた。
「昔…の話、しないでよぉ…」
「ごめんごめん」
「ひっ…うぅ……」
「ごめんね。色々、配慮足りなかった。千夏、頑張ってるのにね」
「九十九の顔見なかったら、泣かなかった、もん…」
「あー悪かった、悪かったよ。そんなに泣いたら私が怒られるだろ?」
九十九由基と初めて会ったのは、先生と一緒に2回目の任務へ行って、当然のことのように失敗して公園でへこたれているときだった。
”やぁ”
”…これ欲しいの?”
”ぷっ……第一声がそれ~?お、くれるの?ありがとう”
「…千夏が失ったものは消えたわけじゃない。まだ取り戻せるよ」
「う、ん…」
「それに、あのまま夏油くんの体使われるの許せないでしょ」
「うん…」
「じゃあ動く!」