第67章 隠し事
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「…昔ね、悟と傑が天元って人を守る任務やったんだって」
きっと千春は知っているだろうけど。
「最後に死んじゃって…。今思うと、あの時の2人おかしかったし…」
話しかけても上の空。
どっか行け、と言われることもあった。
1人になりたかったんだろうな…。
「よく分からないけど、天元って人は悪くないんでしょ?悪いのはその周りだって…おばさん言ってた」
何が正しくて、何が間違っているか…
「…後でおばさんに謝るね。嫌な態度とっちゃったから」
それを決めるのは他人じゃない。
自分だ。
『…偉いよ』
「ありがと」
木でいっぱいの場所を抜けて、建物の裏へ出た。
未だに迷路みたいなこの場所を、指示なしに動くことは出来ない。
この場所に来るのは初めてだけど、千春が教えてくれる方向へ移動する。
どうして知っているかは聞かないことにした。
「すごい…エレベーター」
『この奥に……まぁ、行けばわかる』
高専内にエレベーターがあったことも初めて知った。
いつも、嫌になるほどの階段を駆け上っていたのに…。
着いた場所は、どこかかび臭い匂いがしてじめっとしていた。
地面には清掃を感じられない血痕が。
新しいものでは無さそうだった。
『…12年前。この場所で千夏が言う”天元”が殺された』
12年という月日は大変長いものだが、私にとっては一瞬だった。
12年…。
12年、か。
『五条悟が痛手を負い、禪院とうじによって星唱体が…殺された。夏油傑の前で』
知っている名前と知らない名前が交互に出てくる。
それは、私の知らない歴史。
2人とも、あの時の任務を詳しく話してくれることはなかった。